Fata.シャーロック1月24日【9】Oh! Crazy Halloween!「何それ」 ロビンの当然の質問を聞き過ごし、シャーロックは黙って草刈り機の紐を引いた。一度、二度、三度……かなり年季の入った機器なので六度目でようやくエンジンがかかった。ドゥルルルル……。不規則な振動をシャーロックの腕は直に捕らえる。 「ねえ、何それって聞いてるんだけど」...
Fata.シャーロック1月24日【8】Oh! Crazy Halloween!◆この世には触れてはいけないものがある 「すぐに出るよ、シャーロック!」 「よし、と言いたい所だが、今からタクシーを呼ぶのか? 遅過ぎるだろ」 ロビンはリーハを抱いたまま、息せき切って玄関ポーチを駆け抜ける。コンマ一秒の遅れもなくシャーロックが後に続く。二人の長脚が起こす風...
Fata.シャーロック1月24日【7】Oh! Crazy Halloween!◆医者が先か、祈りが先か 「おい、すぐに隠すぞ」とシャーロックが小声で囁いた。 「いや、もう間に合わないよ」ロビンは首を振った。 「仕方がないから、マフィン君はたった今、心臓発作か何か僕らの知らない大変な病気の発作で倒れたことにしよう。それで『今から知り合いの医者の家に連れ...
Fata.シャーロック1月24日【6】Oh! Crazy Halloween!◆男なら笑って死体を始末しろ 「あー、どうしようかね。瀕死だよマフィン君」 「自分の捲いた種だろ。どんな結果になっても文句は言えない」 「それは僕に言っているのかい、自分に言っているのかい、それともマフィン君にかい?」 「俺はハリーに言ったつもりだが。一応確認するが、俺たち...
Fata.シャーロック1月24日【5】Oh! Crazy Halloween!◆毒塗りタフィーを食べるのは? それから僕は絨毯にごろり寝っ転がり、何を言われても返事をしないでいた。 散々馬鹿にされて腹が立っていたのと、めちゃめちゃ疲れていたからだ。 今はオレンジのカボチャたちだけが僕の癒やし。大家のユウミさんから得られる癒やしはまだ期待できないもの。...
Fata.シャーロック1月24日【4】Oh! Crazy Halloween!◆お楽しみタイム 「言われなくてもシャーロックは煙草をやめないよ」ロビンさんはクスクス笑いながら立ち上がった。 「それはそうと。そろそろお楽しみタイムにしよう」 「お楽しみタイム? 何ですかそれ?」 「プレゼントだよ、プレゼント。今日は街で色々買い物してね。君たちにぴったり...
Fata.シャーロック1月24日【3】Oh! Crazy Halloween!◆独裁者の言うことには 「そうだよ。だからどんな事件が起こったとしても、ただ同情したり激情したりして、何かを強引に進めては駄目なんだ」とロビンさんは言う。 「冷静になってよく考えなきゃ。決まりを一つ変えるなら、必ず弱点をカバーする決まりを作らないとね」...
Fata.シャーロック1月24日【2】Oh! Crazy Halloween!◆吸血鬼が現れて「誘導」の話になる 嘘とも思えない言葉。雰囲気。僕は絶句した。どうしよう、何て答えたら良いのか分からない……。 のけぞっていたその時、不意に玄関ホールから「おやおや、シャーロック」と朗らかな声が聞こえて来た。直後に居間の扉が開き、両手に沢山の紙袋を持った、僕...
Fata.シャーロック1月24日【1】Oh! Crazy Halloween!【DAYS番外編】現代英国。ベーカー街221Bの下宿の住人である、ただのひ弱な医者志望の青年リーハ、殺し屋ホームズ、諜報員ロビンの三人は、ブラックな楽しみが詰まったハロウィンの訪れに朝から浮き足立っていた。 カボチャをくり抜いてランタンを作ったり、真面目に「真実とは何か」と...