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執筆者の写真Fata.シャーロック

火星から来た塩昆布

【火星から来た塩昆布シリーズ①】

昨日を背負って明日へ歩く。哀を愛へと変えるため。私はさすらう塩昆布。

心の闇を直視することで手放そうという試み。

創作という海に投げ出された一人の人間が、「溺れるものか」と藁をつかんだり、それさえもすっぽ抜けてしまって絶望したり、「それも人生か」と星を眺めて達観したりしているような、そんな心の動きを言葉にしました。良かったらどうぞ。






 ――それは昔、家族と遊んだ変な診断テストによって授けられた称号だ。全くおかしな称号だが、私は何故か妙に納得してしまい、現在に至るまでこうしてハッキリと覚えている。

 それもそのはず、私は自分のことを「他人とは違う」と感じていた。

 いい意味にではない。やや苦しい意味にである。

 浮いているな、意見が合わないな、と思うことは日常茶飯事。「○○が好き」という人に「私も!」と言う時でさえ、「そうだよね、仲間だ!」といった反応はなかなか返って来ない。反応があったとしても、そこには妙な間があるのだ。何故だろう。

 多分私は、共感や同意をされにくい人間なのだ。

 発想が突飛なのは言わずもがな、知らず知らずのうちに間合いを読み損ねたり、他人の心に届かぬような言い回しをしているのだろう。うん。

 ただ、それを直そう、世に馴染もう……そんな風に生きてしまったら、それは「私が消えてしまう」ということと同義にも感じる。ワガママだろうか。

 いやいや、私は元々完璧な存在だったのだ。でも、うっかり地球に降りてしまったが故に、色んな苦しみを味わうことになってしまったのだ。

 いつも考え通しの思考や嗜好についてもそうだ。

 一見すると、塩昆布な感じは皆と変わらない。ただやっぱりそこには、火星から来ただけの違いがある。風味や匂い。食感。喉越し。独特だから孤独を感じる。でも、それは悪いことではないはずだ!

 いつからかそう開き直ることにした。

 火星から来た塩昆布は、美味しいけれどその独特な風味ゆえに、人を選ぶのだ。好きな人だけ喰えばいい。後は野となれ山となれ。

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